株式会社商船三井(以下「商船三井」)と日本ペイントマリン株式会社(以下「日本ペイントマリン」)は、10年以上にわたり、高品質な塗装技術を通じて船舶の性能向上と環境負荷低減に取り組んでまいりました。2010年、NEPTUNE ACEへの「LF-Sea」塗装の成功を皮切りに、両社は運航効率と環境責任という共通の目標のもと、信頼関係を築いてきました。
商船三井は、当社の低摩擦船底塗料「LF-Sea」をいち早く採用しました。これは、水を捕捉するハイドロゲル技術「HydroSmoothXT™」を活用し、船体表面の微細な凹凸を滑らかにすることで水の抵抗を低減し、燃料消費量を約4%削減、CO₂排出量の削減にも貢献しています。
このパートナーシップを基盤に、日本ペイントマリンはさらに高度なソリューションの開発を進めてきました。2010年の提携開始以降、両社は「A-LF-Sea」や「FASTAR」などの主要コーティングの共同開発にも取り組み、2021年には世界初の防汚剤フリー自己研磨型塗料「AQUATERRAS」を発売しました。AQUATERRASは、親水性と疎水性のマイクロドメイン構造を組み合わせることで生物付着を防ぎ、防汚剤を使用せずに船底の汚れを最小限に抑えることができます。クルーズ船からばら積み貨物船まで、さまざまな船種で採用され、商船三井の運航戦略を支える重要な役割を果たしています。
日本ペイントマリン株式会社 技術本部副本部長の鍛治は、次のように述べています。
 
															「商船三井様との関係は20年以上にわたり、LF-Seaを基盤とした燃費向上の共同プロジェクトを推進してきました。これはClassNKとの国際共同研究や、国土交通省の支援による国家プロジェクトとしても実施され、既存船・新造船へのA-LF-Sea適用による燃料消費量約10%削減の効果が実証されました。その後、FASTARもいち早くご採用いただき、当社の技術力への信頼を実感しています。」
2024年には、AQUATERRASが自動車運搬船「COURAGEOUS ACE」に適用され、両社の協業は新たな段階へと進みました。日本ペイントマリンの技術・サービスチームによる専任サポートも高く評価され、商船三井はグローバルに活動する「CARNATION ACE」にもAQUATERRASを採用しています。
航路の変動や長期の海上滞在により船体付着リスクが高まる中、AQUATERRASは過酷な条件下でも生物付着を防止する実績を持ち、理想的なソリューションとして選ばれています。商船三井は次のようにコメントしています。
 
															「AQUATERRASは環境配慮型の防汚剤不使用のコーティングであり、高い防汚性能、船舶の性能向上、および運航効率の向上に期待して採用しました。今後も日本ペイントマリンが最適なコーティングソリューションを提供し続けてくれることを期待しています。」
商船三井におけるAQUATERRASの継続採用は、規制強化や環境責任が運航計画の中心となる中、船主の戦略的な変化を象徴しています。防汚剤不使用でも高い防汚性能を実現するソリューションを選択することで、商船三井は船体効率と持続可能性の両立を実現しています。海運業界がカーボンニュートラルを目指す中、こうしたパートナーシップは、規制遵守と競争優位性の両立におけるコーティング技術の重要性を示しています。




